リノベーションまちづくり
特定の地域において、民間主導でまちづくりの核となる空家等をリノベーション事業により再生し、そのような事業を近傍の物件にも連鎖的に展開して、地域に新たな機能や人材を呼び込み、まち全体の魅力を向上させて地域の活性化を図る取組みをいいます。 本フォーラムでは、リノベーションまちづくりアドバイザー紹介制度の取組みなどを通じて、府内市町村における地域のまちづくりを支援しています。
サイトを見る特定の地域において、民間主導でまちづくりの核となる空家等をリノベーション事業により再生し、そのような事業を近傍の物件にも連鎖的に展開して、地域に新たな機能や人材を呼び込み、まち全体の魅力を向上させて地域の活性化を図る取組みをいいます。 本フォーラムでは、リノベーションまちづくりアドバイザー紹介制度の取組みなどを通じて、府内市町村における地域のまちづくりを支援しています。
サイトを見る建物用途を従前と違う用途に変更して利用することを「コンバージョン」と呼び、空き家を店舗、飲食、宿泊、福祉などの用途にコンバージョンして利用することは、その空き家が解消されるばかりでなく、地域住民の利便性等を高め、コミュニティの新たな形成によるまちの魅力の増進につながります。
都市のいたるところに数多く存在する空き家が、様々な地域のニーズに対応した用途の施設に数多くコンバージョンされることで、これまで人が近寄らなかった空き家が、地域の人々を迎え入れるオープンな施設に生まれ変わります。コンバージョンした空き家が多く集積するほど、地域社会の活力が増進することが期待できます。
大阪の住まい活性化フォーラムでは、不動産・建築関係者向けのガイドブックを作成していますので、ぜひご活用ください。
オープン空き家構想
コンバージョン(用途変更)による住宅の利活用ガイドブック
【全体版】
【分割版】
大阪府内でのリフォーム・リノベーションの事例を募り、優秀な事例を選定し、府民へホームページ等で情報発信することにより、空家等を含む中古住宅をリフォーム・リノベーションして、住みたい街に住むことの魅力を広げていくこと等を目的として、平成24年度(2012年度)より6回開催しました。
多くのビルが立ち並ぶ都心に、瀟洒な佇まいを見せる。緑地やその外観から外に滲み出す居心地の良さが、通りゆく人を中に招く。店舗や事務所が入居する他に、他者が自由な自己表現の場とできるギャラリー空間を確保し、まちに場を開く。近隣ビルからもよく見えるであろう屋上庭園は、くつろぎの場としても、眺める場としても、人々の癒しとなる。背割りとなっている太閤下水部分を塀の外側も含め買い取り、そこにも緑地を配し、近隣ビル群のオアシスとなっている。地域、まちへのコミットメントの姿勢が卓越していることが、大きな評価のポイントとなった。
また、建物のディテールだけでなく、内装、家具、カーテンなどの設え、置物の一つに至るまで、見事なデザインとコーディネートが施されている。熟練のデザイナーが技術と手腕を惜しみなく披露した、将来にわたりまちの財産となる事例と言える。(加茂 みどり)
「七海 旭通商店街活性化プロジェクト」(以下、本作品)は、商店街から20mほど住宅街に入ったところに立地した空き家をリノベーションした店舗である。当初建物は老朽化が進み、屋根等が傾くといったような状態で、建て直しも検討したが、住宅地へ続く街路のイメージや、商店街との連携等を考慮した結果、既存の建物を生かしたリノベーションとなった。
本作品は既存建物を生かすといったデザイン性は無論のこと、地域の街並みとの調和や、コミュニティ機能を有することで持続的に地域に貢献することへの工夫といった点で優れていた。更に大阪府下の商店街では、ありふれた住宅地に続く路地を生かしたことで商店街とも一体性を感じさせた点を高く評価した。このようなまちの小さな商業の誕生は、地域の活性化につながる取り組みの一つである。加えてこのような小面積の老朽化した空き家は府下にも多数あることから、空き家活用のモデルの一つになると判断した。(風谷 昌彦)
伝統構法木造建築物の新たな耐震工法による耐震化手法の提案である。
富田林市寺内町に建つ大正期頃の伝統建築物を「おおさか河内材」を格子状に組み合わせて造った「面材補強格子壁」と、その上部に「欄間空間を利用した小壁」下部には「床下箱型小壁」を設ける事によって、大規模な基礎工事をおこなわず、かつ、筋交い、構造補強用金物、構造用合板等も使用せずに、在来工法の耐震改修に匹敵する耐震化を行っている。
また、おおさか河内材の木目や色合いを活かした「面材補強格子壁」は、そのまま内部の意匠壁としても十分に通用するデザイン性を兼ね備えており、なかなかユニークな構造補強材である。
(辻 裕樹)
築30年を迎えたマンションはここで住み続けるか、転売をして終の棲家を新たに作るかどうかの選択が迫られる。都市に住み続けるための魅力的な仕掛けを持ち、社会と連携しているマンションは社会的資本として評価され生き残ることができる。
このマンションは、新しく購入した施主である設計者がLDKの改修ではなく、1室空間を作ることにこだわった。表と裏は1本の路地でつながれ、余白を生み出している。無味乾燥な空間に住むのではなく、自然の材料を使い、素材を活かした手作り感のあるもので空間が納められている。厚さ30mmの杉材が床と壁の仕切り材に使用され、全体が木の温もりで包み込まれている。肌触りのよい柔らかさと保湿性のある杉板材が表面の削り方の違いによって使い分けられ、空間に深みを持ち込んでいる。ただきれいにリノベーションをしただけではなく、時間の経過のなかで美しくなる素材が選択され、住み続けることが楽しくなる工夫が感じられる住まいである。(竹原 義二)
築30数年が経つ入母屋造りの和風住宅をリノベーションした好例な作品である。
時間をかけて街並が整った住宅街でも、古くなった建物が新しい人に代替わりするとき、建物を取り壊して更地として転売される。古くなった住宅でもリノベーションをすることで、建物は新しい命を持って生きかえる。
この住宅は2間続きの和室と壁で仕切られたダイニングキッチンを1室空間に改修し、和の生活から洋の生活に転換している。南側の庭に開けられた掃き出し窓側に奥行き300mmの「3D Wall」と呼ぶ格子状に組まれた棚を前面に取り付け、外と内の隙間を利用して棚という装置を取り付けることで現代のライフスタイルに適用させる手法を生み出している。この新しい壁には大小様々な正方形の孔が開けられ、その孔にテレビ台・本棚・PC台・飾り棚・勉強机の機能を持たせることによって空間に奥行感を作っている。この多機能な家具の壁によって、新しい住まい方が提案されているところを高く評価したい。(竹原 義二)
住み続けるために今の生活に合わせた戸建住宅のリノベーションの好事例。
玄関と応接間を一繋がりの土間空間にし、外部の中庭と繋げている。生活をユカ座からイス座にすることで使い勝手を良くしている点は高く評価される。
子育て期の核家族の家から、夫婦二人のゆったりとした生活のための家へと、しなやかな変貌を遂げている。不要な間仕切りを取り払い、広い室空間や便利な動線、通風を確保し、外部空間の豊かさも享受できる。さらにバリアフリー、耐震性能、省エネルギーなどの性能向上にも配慮した。
高い勾配天井や、パントリーからダイニングにかけての通風など、躯体の持つ性能を最大限に活用している。また、土間を広げた玄関、パントリーと広いキッチン、趣味の空間を実現したリビングルーム、のびやかな空間となった寝室など、夫婦二人のゆたかな生活を実現している。
居住者の要望を適切に汲み取り、改修後の暮らしを居住者に想像してもらいながら進めていく設計プロセスが非常に良い結果をもたらしている。無垢材の二重床や引き戸の採用により居住性向上に成功している。
一般的な大規模修繕に加えて、サッシの断熱性能向上、LED化、給水方式の変更等共用部の全面改修工事を行うことにより、外観のイメージ向上と共に、建物の長寿命化及び省エネ化を行ったことが評価された。
躯体の仕上げをそのままに、3LDKの部屋をスケルトンの一室空間にした。住み手が自分達で好みに合わせて工事を進め、住みこなしていく好事例。ベランダや窓辺の重層する緑が庭と室内との一体感を作り込んでいる。
古い建物をリノベーションする手法として、3つの提案がされている。すなわち、現況基準法を満たす、構造補強をする、省エネを含めた基本性能を満たす、である。それらを踏まえたうえで、新しい住まい方を実現した長屋再生の好例である。
リビング・ダイニングと玄関ホールとの間に、多様な機能をもつ「廊下」空間を3つ設け、リビング側にフレキシブルな建具を設けることにより、通風・採光・収納等の問題をうまく解決している。住まい手の要望に応える、優れた提案である。
3LDK の空間を思い切ってワンルームとすることで、伸びやかな空間が創出されている。こだわりの感じられるインテリアとゾーニングにより、日常的に使いやすく、非日常空間として演出可能な住まいとなっている。
マンションのリノベーションでスケルトンの状態に戻し、天井の中に隠されていた懐の軌跡を積極的に活かした提案である。懐を収納部分として増設し、柱型、梁型を連続させ空間にリズムを生み出している点を評価する。
古い集合住宅を敷地計画も含め一棟まるごと対象とするリノベーションは、今後も増えていくと考えられ、地域環境の向上にも寄与する可能性がある。その先駆的な好事例であり、近年の住まい手のニーズを的確に捉えている点も評価される。
マンションのリノベーションは、家族数によってプランが動かされる。小さな部屋で仕切るのではなく、一室空間を豊かにし、空間の大小を表現した好例である。プランが心地よく形成されている点を評価する。
階段の位置を中央に変更するという大胆な発想だが、耐震補強と階段の移設をうまく組み合わせ、それを計画にも生かしている。また、補強材も圧迫感を生むことなく、うまく溶け込んだデザインとなっている。
障がい者に対してだけではなく、介護者の立場にも立ったバリアフリーが計画されている。玄関横のたった2畳の和室は、家全体の風の通り道となるだけでなく、それぞれがストレスなく生活することを可能にする優れた提案である。
人は加齢と共に体の調子や嗜好が変わっていく。一室だけのリフォームであるにもかかわらず、住まい手の要望を効果的に具現化することにより、住戸全体の雰囲気を変えることに成功している。
狭小2軒長屋5階建てビルの半分をリノベーションするというユニークな提案である。
各階25㎡+階段室を1ルームの手法を用いてまとめ、縦につながる4層のボリュームから生み出された空間は都会でのビル暮らしを楽しむ提案としてすばらしい。
6人の家族それぞれの居場所となる住宅として、限られた空間資源を最大限に利用し、場所ごとに工夫を凝らしながらの丁寧な設計が感じられる。窓の位置も視線が通り、明るさと開放感が演出されている。
木造賃貸2軒長屋のリノベーションの好例である。長屋を区切る壁に床面から小屋裏まで達する本棚を挿入することで、隣家からの音を遮断し、空間を引き締めるインテリアになっている。本棚は音の遮蔽として有効な手段である。
設計会社 | Office for Environment Architecture |
施工会社 | N.P.O(Nagaiwa-Naohiro-Norio .Profit .Organization) |
ご両親の家に、バリアフリー化及び断熱・通風計画等による省エネ化を行い、現在に通用する住まいに甦らせた事例である。一階をバリアフリー化し、和室・居間から続く外部デッキも段差が無いように考慮されている。
減築が注目される昨今、本作品は吹き抜けを創り、テラスを広げ、心地よさを増す減築を実現した良い事例。また、回遊性を持たせ、繋がりと大らかさを得たプランは、間口が狭い都市型住宅の改修提案としても評価できる。
北側以外は隣家で囲まれ、プライバシーや採光の確保が難しく、冬は底冷えのする住宅を、既存のトップライトを有効利用することで明るく、プライバシーを守りやすい空間に改修。寒さを防ぐ様々な工夫も評価できる。
築150年の民家のリフォームである。表の座敷はそのままにし、生活の場を暮らしやすいように手直ししている。元のデザインを生かし、古いモノと新しいモノを融合させ、時間の経過が楽しめる空間を生みだしている点が評価できる。
住まい手の好み通りに落ち着いた色調とレトロな空間を演出している。また、広い玄関を外部と内部の中間的な空間として計画し、玄関から直接アプローチできる位置にキッチンを設けた動線計画も評価できる。
両隣をマンションに挟まれたよくない条件下で、1階に明るい光や風をいれるための光庭を設けるなどの工夫がなされている。大阪らしい、魅力的な居住空間を実現しており、モデル的な改修事例と高く評価できる。
階段の移設という思い切ったリフォームにより、ごく一般的な間取りであった従前の住まいに、広々とした明るい空間を生み出したところが評価できる。居住者が希望したホームパーティを楽しめる住まいとなっている。
スロープにより導かれるウッドデッキから、居室に直接入るというアプローチの組み立ての変更により、車いすでの快適な生活と、家族のつながり両面が実現されているところが評価できる。
4軒長屋を丸ごと耐震改修した点と、1軒の居間を開放し、近所の人とのコミュニティをつないだことは、新しい長屋住まいのかたちとして評価できる。失われつつある大阪らしい町並みを保全しようとした優れた提案。
現況を活かし、長屋をリノベーションする優れた提案。セルフビルドによる改修により、建物への愛着が生まれ、古いモノのなかに住み続けるという意志が感じとれる。耐震補強できていれば、なお良かった。
リノベーションにコーポラティブ方式を用いた意欲的な試み。これからの建築再生の手法として、また、新しい提言事例として、社会的意義が高く評価できる。全国でこうした取組みを期待したいモデル的な事例である。
既存扉の塗り替えや既製品に寸法を合わせ、低廉な材料を活用するなど、コストを抑える工夫がなされている。狭いスペースで、機能性やフレキシビリティーを向上させようとよく考えられており、評価できる。
リビング・ダイニングにSOHO空間を新たに設け、細分化されたにも関わらず、「淡い仕切り」により各部屋に連続性を持たせるなど、創意工夫がある。新しい住まい方提案としても魅力的で、評価できる。
かつての増築部分を減築により、元の状態に戻し、光と風を通した。長屋の耐震工事は全体で考えなければならないが、これは、J・Podを耐震シェルターとして居間に使い、外部と内部空間をつないだ好例で評価できる。